障害者の臨床に関わって40年が経とうとしている。
40年前の内科の教科書には、
「〇〇〇は安静にして過ごす」
といった言葉が多用さてれいた。
私が学生だった頃の平均寿命は70歳代で、
当時の入院患者は50~60歳代の方が多かった。
その年代の方に対して「安静」という治療法に問題はなく、
経過も良好であった。
それが現在のように平均寿命が延び、
入院患者の多くが80歳代になってくると
「安静」はそのまま廃用症候群につながる。
そうなると「安静」ではなく「運動」が重要になる。
ここでいう「運動」とはテニスやサッカーのような、
スポーツをするという事ではなく、
日常生活の中にある動作を可能な限り行うということだ。
その例として「寝返り」は出来るだけ多くする。
出来るならば「起き上がり」も自力で心掛ける。
これらの何でもないような日常動作を生活の中で
実現していく事が慢性期のみに関わらず
急性期でも廃用症候群に陥らないために特に大事になってきている。
昔は重症な脳卒中患者がベッドの大半を占めたが、
現在は軽症な脳卒中で廃用症候群を合併している患者が多くなっている。
生活の中で「運動を心掛ける」が、大切な時代になってきている。