鹿島病院スタッフブログ

父の看取り

  • 投稿者:鹿島病院事務局
  • カテゴリー:朝礼でのスピーチ

昨年9月に80才の父を自宅で看取りました。

昨年の初めに首にしこりが出来て診察を受け

3月には喉頭がん末期と告知を受けました。

父は、

「この年まで生きたから何もせん。家が良い」

と言い張り、詳しい検査や治療をしないまま家に帰りました。

介護をするのは同じく80才の母。

私が協力すると言っても夜だったり、

休みの日なので心配していましたが、

「おじさんがそう言うだけん。看てあげるだわ」

と言いました。

それからの父はいつも通りの当り前の日常を過ごしました。

母と言い争ってみたり、やせ細っていく体で庭を歩いたり

仏壇に手を合わせたり、孫と話をしたり。

痛みが増してきて薬の回数が増えたころ、

親類が来て首の腫瘤をみて驚き

「なんで病院に入院させないんだ」

と言われて説明したこともありました。

本人の希望とはいうものの、実際には

疼痛コントロールは十分ではなかったと思う。

そのうち食事が出来なくなり、点滴さえも拒否していた父を説得し、

一日毎の500mlだけで点滴もしていたが、

亡くなる1日前は血管もなくなり、それすら入りませんでした。

これで良かったのか自己満足ではないのかと思ったりもしました。。

でも母の

「おじいさんは頑固者だったからね。でもよく頑張ったわ。」

との言葉で父らしい最期だと思いました。

在宅で看取りの段階になった場合、

できるだけ本人や家族の意に添うようにしていますが、

自分自身が家族側に立ったことで、

時間が経過する中で気持ちが揺らぐことを身を持って体験しました。


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